wallstat とは

wallstatは、京都大学 生存圏研究所の中川貴文准教授(2020.2現在)が研究開発された「木造住宅倒壊解析ソフトウェア」です

  • パソコン上で3次元的にモデル化した木造住宅に、地震動を与えシミュレーションを行うことで、 振動台実験と同様の揺れを動画で再現することが出来ます
  • ソフトウェアは、(一社)耐震性能見える化協会HPから無償でダウンロードすることが出来ます
  • 「wallstat」は同協会により商標登録申請中です
  • テンシル構造の性能もパラメータ化することでwallstatの計算に用いることが出来ます(wallstatは従来の耐力壁と異なるテンシル構造の挙動も“見える化”する優れたシミュレーション手法です)

wallstatに関する詳細は次のホームページをご覧ください

震度7クラスでの挙動(一例)

仮想住宅A 左は1階の床面積が約90平米の仮想住宅です.1階の耐力壁は外周部に9ミリの構造用合板を18壁、内部に筋交いを5壁備えています

この仮想住宅の床面積と間取りは替えずに内部の耐力壁だけを全てテンシル構造に置き換え、これらの地震時の挙動をwallstatで比較しました

解析に用いた地震動情報は兵庫県南部地震(1995)のJWA神戸波(気象庁)です

1F俯瞰図 1階の大まかな間取りです.南側(左)から西側(下)にかけて開放的な大空間が広がっています.このような「大きな空間」を備える実際の住宅も少なくないでしょう

この仮想住宅の内部壁は柱と壁がある北側(右)に集中しており、耐力壁(たすき掛け筋交いと双方向筋交い)で構成されています

耐力壁の種類
比較する二つの仮想住宅の内部壁(耐力壁)を整理しました.
令46条比較
このときの1階の壁量計算結果を整理しました.いずれも必要壁量以上を確保しています

 

ところで、wallstatには自分でパラメータを設定できる機能が備わっています(とても便利です)

パラメータ設定 設定されたテンシル構造のパラメータをグラフで性能評価試験のデータと重ねてみました.

がパラメータ値で、が試験データです

実データと重なるようパラメータを設定することで、テンシル構造の特性をシミュレーションに組み込むことが出来ます

JWA神戸波を30秒作用させた計算結果は以下のとおりです.
左が全体の外観図、右が真上から変形状態を見た図です.(視点は自由に変えることが出来ます)
左側(手前)の仮想住宅が内部にテンシル構造を備えたものです.左図の下側に波形が付いています

シミュレーション結果
シミュレーションの結果、内部の耐力壁をテンシル構造に替えた仮想住宅は、筋交いに比較して変形量が少ないようです.真上から見ると右側の仮想住宅はX方向・Y方向ともに大きく変形しています
変形量のグラフ
2階の重心位置の変形量を方向別に比較したグラフです
テンシル構造を付けた仮想住宅の変形量について、揺れ始めはX方向・Y方向ともに筋交いより大きいようです.しかし、揺れが続くにつれて筋交いより変形量が小さくなりました
この理由は以下のように考えました

  • 筋交いをテンシル構造に替えた結果、壁量が減ったことで揺れ始めの変位量が大きくなった
  • 初期剛性が強い在来工法の耐力壁は、初期の大きな揺れに抵抗するものの、ダメージが大きく残り、続く大きな揺れに耐えられず、変形量が増していった
  • 一方、テンシル構造は在来工法の耐力壁と力学特性が異なる(変形が大きくなるほど耐力が増す)ため、初期の大きな揺れでダメージを受けた構造用合板に代わって、耐力を発現・保持し変形量を抑えた

動画はこちらです

注意1:計算に用いた仮想住宅は架空のものです
注意2:本計算は京都大学生存圏研究所が公開している「wallstat ver.4.2.3」を用いています
注意3:計算結果はテンシル構造の性能や建物の安全性を保証するものではありません。計算結果は計算条件によって変わりますのでご注意ください
注意4:株式会社オンバスはwallstatの商用利用についてルールに基づき覚書を結ばせていただきました

詳しい計算条件等についてはお気軽にお問い合わせください